9:00-10:20(第1会場) シンポジウム4
「デジタル医療技術の多面的な評価 ~エビデンスを創る・見せる・評価する~」
座長:五十嵐 中(東京大学大学院薬学系研究科 特任准教授)
齋藤 英子(東京大学新領域創成科学研究科 准教授)
保健医療分野でのデジタル機器の利用が拡大し、日常の健康管理にもデジタルヘルス機器が活用される一方で、技術の評価基準の標準化は遅れが見られる。日本においても、デジタルヘルス技術のガイドラインは未整備で、今後の評価基準の構築が課題となる。その一方、米国ICER組織のデジタル技術に特化したガイドラインや、英国NICEのAIコンツーリング技術の評価 など、既存の評価手法をただ敷衍するのでなく、デジタル技術の「強み」を質的に評価する動きが見られる。
本シンポジウムでは、単なる規制の比較を超えて、デジタル医療技術のエビデンスを創る側・見せる側・評価する側の三点から、多面的な評価のあり方を俯瞰・展望したい。
「評価者から見た『デジタル医療技術の評価』とは」
鈴木 友人(東北大学ナレッジキャスト株式会社 医療機器等開発支援グループ シニアコンサルタント)
共立薬科大学(現 慶應義塾大学)薬学研究科後期博士課程修了(博士(薬学))、2008年に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に入職し、10品目以上の新医療機器を含む400品目以上の医療機器の承認審査及び相談業務を担当。PMDA在籍中に東京大学医学部附属病院に出向し、アカデミア発のメディカルシーズの研究開発を支援。また、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)にも出向し、医療機器関連予算事業の事業総括を担当。2020年より現職、PMDAでの審査経験とアカデミア及びAMEDでの研究開発支援経験を基に、医療機器薬事専門のコンサルタントとしてベンチャーを含む国内外の医療機器メーカーの開発を支援。
「デジタル医療技術の『見せ方』とは」
近藤 邦彦(株式会社LU.TWIYO 開発責任者)
2000年よりシステム開発に従事し、多岐にわたるプロジェクトを手掛ける。2012年、健康保険組合加入者向けに健診データ(PHR)の経年変化を可視化するシステム開発に参画。2014年には総務省実験として、健診データのビジュアライザーションおよび、健診データの解説コンテンツを開発し、保険組合員の健康行動変容を促すシステム・コンテンツの開発を行う。2019年、会員制健康ポータルサイトのUX/UIフルリニューアルのデザイン監修およびフロントエンドプログラムの開発を担当。現在に至るまで、UX/UIの開発を中心に様々なヘルスケアプロジェクトに参画している。
「疫学・生物統計の立場からみたデジタル医療技術の評価」
立森 久照(慶應義塾大学 特任教授)
主な専門は疫学・生物統計学。慶應義塾大学特任教授として、医療政策および生物統計学の高度専門家や人材の育成を行ってきた。また、NCNP、国立国際医療研究センター、東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座などで、統計的因果推論手法の応用により、精神・神経疾患の臨床試験,非感染性疾患の疫学調査、外科的介入のレジストリデータを活用した観察研究における研究の質向上に取り組む。こうした活動を通じて、データを活用することで誰もがwell-beingな社会の実現を目指している。
「国際保健の立場からみたデジタル医療技術の評価」
大田 えりか(聖路加国際大学 教授)
2009年から東京医科歯科大学大学院リプロダクティブヘルス分野特任助教、10年エイズ予防財団リサーチ・レジデントを経て、12年より東京大学大学院国際保健政策学教室助教、13年より国立成育医療研究センター研究所政策開発研究室長、2016年4月より現職。現在、国際・地域連携センター部長、WHOプライマリーヘルスケア看護開発協力センター部長、国際・地域連携センターPCC開発地域連携室部長、コクランジャパンセンター代表理事・副理事長、コクランのエディターとして活躍し、世界保健機関ジュネーブ本部リプロダクティブヘルス部門や栄養部門のWHOガイドライン作成や共同研究に携わっている。
「感染症疫学の立場からみたデジタル医療技術の評価」
米岡 大輔(国立感染症研究所 室長)
2022年より国立感染症研究所室長。個別化医療と感染症における生物統計学と機械学習の理論的側面に取り組んでいる。2016年に総合研究大学院大学(SOKENDAI)で統計学の博士号を取得後、米国(セントジュード小児研究病院)とスイス(ETHチューリッヒ)でポスドクを経験。生物統計学と機械学習の分野に広く関心があり、特に個別化医療の応用に焦点を当てており、数学や統計学を医学、疫学、公衆衛生分野に応用した研究を進めている。
9:00-10:20(第2会場) シンポジウム5
「ITデバイスを活用した口腔ケアや歯科領域の最新情報」
座長:木村 佳晶(合同会社アグリハート 代表/ITヘルスケア学会 理事)
ITデバイスを活用した口腔ケアや歯科遠隔医療の現状と課題について考察し、特に今回は遠隔医療とデジタルデンチャーを用いた新しい歯科医療の可能性とリハビリテーションについて紹介し議論する。
「歯科遠隔医療の現状と課題について」
長縄 拓哉(ムツー株式会社 代表取締役)
日本遠隔医療学会歯科遠隔医療分科会会長。
「食べることは生きること、デジタルデンチャーによって実現する質の高い高齢者生活」
野田 真一(株式会社フィールトラスト 代表取締役)
IT企業が運営するデジタル歯科技工所としてデンスマイルラボを昨年開業。精度、適合性抜群のデジタルデンチャーによって口腔・咀嚼機能の回復から高齢者のヘルスケアを科学する。業界のデジタル化に寄与する為一般社団法人歯科デジタル支援協会を立ち上げる。
「看護師向けDX研修について」
高丸 慶(一般社団法人訪問看護支援協会 代表理事)
看護師、保健師、ケアマネジャー
株式会社ホスピタリティワン 代表取締役
株式会社エンタケア研究所 代表取締役
株式会社おくりびとアカデミー取締役
株式会社働楽ホールディングス取締役
一般社団法人訪問看護支援協会 代表理事
一般社団法人終活カウンセラー協会理事
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科博士課程単位取得退学
10:30-11:50(第1会場) シンポジウム6
「プログラム医療機器(SaMD)の社会実装に向けた最新動向」
座長:宮田 俊男(早稲田大学理工学術院先端生命医科学センター 教授)
大野真央(早稲田大学理工学術院 招聘研究員/第一三共株式会社)
近年、デジタルテクノロジーの進展は著しく、ヘルスケアの分野においても、AIが搭載されたソフトウェア、手術ロボット、スマートフォンアプリを活用したアプリ等、革新的な医療機器が登場している。本セッションでは、厚生労働省医薬局 医療機器審査管理課長 高江慎一氏より「プログラム医療機器(SaMD; Software as a medical device)領域における最新の規制について」、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 プログラム医療機器審査室の弓場充氏から「認知行動療法を応用した治療用アプリ審査の考え方について」、株式会社テックドクター・取締役代表医師・共同創業者の泉啓介氏からモバイルアプリ・ウェアラブルデバイスを活用した研究事例として「関節リウマチにおけるスマートフォンによる患者報告アウトカムと手首装着型ウェアラブルデバイスによるセンシングデータ」が発表される。パネルディスカッションでは、各立場から、SaMDの社会実装に向けて議論する。
「プログラム医療機器の最新の規制について」
高江 慎一(厚生労働省 医薬局 医療機器審査管理課長)
大阪大学薬学部卒業後、M1中退で厚生省に入省後、医薬局、環境庁、経済開発協力機構勤務などを経て、医政局研究開発振興課 課長補佐、経済課 課長補佐、独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部 部長、厚生労働省大臣官房厚生科学課 研究企画官を経て、2024年4月から厚生労働省 医薬局 医療機器審査管理課長(現職)。
「関節リウマチにおけるスマートフォンによる患者報告アウトカムと手首装着型ウェアラブルデバイスによるセンシングデータ:デジタルバイオマーカーに関する多施設共同単群前向き研究」
泉 啓介(株式会社テックドクター 取締役代表医師・共同創業者/慶応義塾大学リウマチ・膠原病内科 非常勤特任助教)
慶應義塾大学医学部を卒業後、同リウマチ・膠原病内科、国立病院機構東京医療センター、日本医科大学等を経て、科学技術振興機構(JST)や日本医療研究開発機構(AMED)等のプロジェクトでIoT/デジタル技術を医療に活用した研究開発を経験し、2019年 株式会社テックドクターを創業。
「認知行動療法を応用した治療用アプリ審査の考え方について」
弓場 充(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 プログラム医療機器審査室)
2018.3 東北大学大学院 医工学研究科 修了
2018.4 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医療機器審査第二部
2019.4 早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻 博士後期課程入学
2020.3 早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻 助手
2023.3 早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻博士後期課程修了
2023.4 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 プログラム医療機器審査室
2023.4 早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所 招聘研究員
2023.6広島大学 学術・社会連携室オープンイノベーション本部産学連携部バイオデザイン部門 客員准教授
10:30-11:50(第2会場) シンポジウム7
「尿のケアから考えるデジタルヘルスの活用と行動変容の促進」
座長:阿部 正子(名桜大学人間健康学部看護学科 学科長・教授)
本セッションでは、久米島デジタルヘルスプロジェクトから得た知見を基に、排尿の視点で生活習慣改善を目指す夜間頻尿アプリ「Uナイト」の開発と沖縄リアルワールドデータの利活用を紹介する。さらに、女性特有の妊娠・出産に伴う尿失禁や骨盤臓器脱といった“骨盤底ヘルス”に焦点を当てた新骨盤底筋体操の普及活動を紹介する。その上で、ITを駆使したデジタルヘルスが尿ケアを通じた健康管理と行動変容をどのように促進するか、スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスによる健康データのリアルタイム収集とクラウドベースの解析を通じて、健康リスクの早期発見や行動改善のためのAIフィードバックがどのように提供されうるかをディスカッションする。
宮里 実(琉球大学大学院医学系研究科システム生理学講座 教授)
1993年琉球大学医学部を卒業後、同大学病院泌尿器科に入局。その後、清瀬小児病院で研修医時代を過ごしたのち、2006年から2年間、排尿生理、薬理で有名な米国ピッツバーグ大学で遺伝子治療、排尿の新たな創薬開発の研究に携わる。帰国後、東北大学 大学院医学系研究科 医科学専攻 外科病態学講座 泌尿器科学分野を経て、2011年に琉球大学病院に講師として着任。2019年4月より琉球大学大学院医学研究科 システム生理学講座 教授に就任し、加齢、糖尿病、脳梗塞、パーキンソン病、腹圧性尿失禁といった女性特有の疾患、間質性膀胱炎といった難治性疼痛疾患など様々な病態モデルを用いて排尿障害のメカニズムの解明、創薬の開発を行っている。
長嶺 覚子(琉球大学病院リハビリテーション部 理学療法士/琉球大学大学院医学系研究科システム生理学講座 客員研究員)
1993年沖縄リハビリテーション福祉学院卒業後、豊見城中央病院にて整形外科疾患を中心とした理学療法士としてのキャリアをスタートさせる。その後、琉球大学病院へ入職。2017年一念発起し
琉球大学大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)入学、社会人大学院生として整形外科学講座で修士修了。2019年に同大学博士課程においてシステム生理学講座で宮里教授に師事、脳梗塞モデルラットの膀胱・尿道機能に関する基礎研究で2022年に学位取得。翌年からは仕事との二足の草鞋で同講座の客員研究員として姿勢を意識した骨盤底筋トレーニングの開発・社会実装を行っている。
竹井 太(うむやすみゃあす・ん診療所 院長/宮古地区医師会長)
1955年生まれ。大阪出身。東海大学卒業後ニューヨーク留学。医学博士、脳神経外科専門医、認知症予防専門医、禁煙専門指導医、在宅医療認定医。2001年宮古島徳洲会病院初代院長、県立宮古病院勤務を経て、06年うむやすみゃあす・ん診療所開設。13年より宮古島で毎年全国学会を開催、16年沖縄県認知症疾患医療センター受託。Rhマイナスの会、福島震災者支援(笑顔カレンダー)などの地域活動支援を行なっている。現在、宮古地区医師会長。
12:00-12:50(第1会場) ランチョンセミナー
「デジタルクローンAI技術を活用した説明動画作成・視聴システムの開発と導入効果」
座長:磯部 陽(国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授)
「医師の働き方改革」の推進と患者への説明内容の理解度向上を目指し、TOPPAN株式会社と北海道大学病院で共同開発したWEBアプリケーション「DICTOR」を紹介する。デジタルクローン技術を活用して動画を生成し、説明業務等を支援するもので、初回に声と顔を登録してデジタルクローンを生成する。その後任意の説明内容をテキスト入力をすることにより作成者本人の姿で説明動画が生成される。
提供:TOPPAN株式会社
演者:渡邊 祐介(北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構 臨床研究開発センター長補佐・特任講師/藤田医科大学 先端ロボット・内視鏡手術学講座 准教授)
医学博士.外科医として診療・研究に従事しながら,臨床研究および研究開発支援業務に携わる.McGill大学(カナダ、モントリオール)低侵襲外科教室留学時代に外科教育や患者中心アウトカムなどの研究に携わる.研究教育活動等が評価され、米国外科学会(ACS)International Scholarshipを受賞.厚生労働省医系技官(現医政局研究開発政策課)として研究開発行政に従事し,2019 年より現職.現職では,臨床研究中核病院・橋渡し研究支援拠点における研究開発支援業務全般に携わり、治験・臨床研究に係るデジタル基盤の開発にも注力している.藤田医科大学では外科医育成や医療機器開発、外科領域のAI技術を含めた研究開発に取り組んでいる.